脱炭素社会実現に向けた取り組み

脱炭素社会実現に向けた取り組み

SAFプログラムへの参画

航空業界では、2050年のカーボンニュートラルを目指した取り組みの1つとして、持続可能な航空燃料「SAF」の導入が進められています。現状は運航の安全性の観点から、SAFは従来の燃料と上限50%までの範囲で混合するよう規定されていますが、各航空機メーカーは2030年までに100%SAFを使用可能とする目標を公表しています。日本政府は2030年に国内SAF10%供給を目標として掲げており、世界各国においてもSAFの需要は高まっています。

当事業本部では、2023年7月より全日本空輸株式会社のSAF利用プログラム「SAF Flight Initiativeプログラム」のカーゴプログラムに参加し、航空貨物輸送におけるCO2排出量の削減に取り組んでいます。2023年8月には、中国・上海向けの出荷において、同プログラムを利用しました。同プログラム利用により、第三者機関の認定を受けたCO2削減証書を受領しました。

  • ※SAF(Sustainable Aviation Fuel):植物や廃油などから作られた持続可能な航空燃料。既存のジェット燃料と比べ、CO2排出量を80%程度まで削減可能です。
  • SAF写真提供:㈱ANA Cargo

再生可能エネルギーの利用拡大

二酸化炭素やその他温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギー源として、自社施設の屋根を利用した太陽光発電の導入を進めています。2022 年度には、NNR GLOBAL LOGISTICS( M) SDN.BHD.(マレーシア)のペナンオフィス及び倉庫で太陽光発電を開始しました。これを皮切りに、2024 年度はNNR GLOBAL LOGISTICS (THAILAND)CO.,LTD.(タイ)のバンコク倉庫、関東ロジスティクスセンター、りんくうロジスティクスセンター、成田ロジスティクスセンターで太陽光発電を開始する予定です。また、再生可能エネルギーを利用した電力の導入も行っており、2023年度は全事業本部電力使用量の約9.5%を再生可能エネルギーに切り替えました。

  • りんくうロジスティクスセンター
  • NNR GLOBAL LOGISTICS (THAILAND) CO., LTD.(タイ)
    バンコク倉庫

 

モーダルシフトの取組み

トラック等自動車で行われる貨物輸送からより環境負荷の少ない鉄道や船舶での輸送に転換することをモーダルシフトといいます。鉄道輸送は、同一区間をトラックで輸送した場合と比べ、CO2排出量を約10分の1に削減できるとされています(国土交通省・2022年度試算による)。また、物流の「2024年問題」など今後トラックの輸送能力が不足することが想定されており、この観点からもモーダルシフトに対する期待が高まっています。当事業本部でも国内輸送、特に長距離輸送において、トラック輸送から鉄道輸送への変更をお客様にご提案しています。

2023年度は前年度重量比170%と着実に鉄道輸送の取り扱いを増やしております。

トラックのみによる輸送に比べて、CO2排出量を約70%削減することができました。

インランドコンテナデポを利用したコンテナラウンドユース

輸出入コンテナの荷物の配達前後に、空いたコンテナを港ではなく内陸の「インランドコンテナデポ」へ引き取りもしくは返却とすることで、空コンテナの輸送距離を短くすることが可能です。輸送距離短縮により、CO2排出量の削減やトラックドライバーの労働力不足緩和、働き方改革の実現などが期待されており、コンテナラウンドユースで戦略的な対策を取ることが可能となります。
当事業本部においては、2023 年度は1,221TEUのコンテナラウンドユースを実施し、通常手配時に比べて約29%のCO2排出量削減に貢献しました。

エコロジカルな物流拠点:再利用と再資源化の実践

りんくうロジスティクスセンターでは、環境に配慮した物流施設を目指し、開設以来、再利用による資源化に取り組んでいます。プラスチックパレットは近隣施設と連携・協力し、新たな購入を減らすことでCO2排出量の削減に貢献しています。
また、航空会社上屋より回収した廃棄予定木材パレットを補修して再利用し、廃棄物の削減を図っています。更に、ビニールラップなどの廃プラスチックや古紙類も回収して資源化し、廃棄物の削減に努めています。

断熱ボックス使用によるCO2 削減(フィリピン)

NNR Global Logistics(Philippines) Inc. では、フィリピン国内での食品及び非危険物化学品の保冷輸送に断熱ボックスを使用した取り組みを行っています。- 20℃から+10℃までの温度帯に対応可能で、低温帯(2-8℃)では14 時間以上の保温が可能です。常温貨物との混載が可能なため、CO2 排出量の削減や輸送費の低減に貢献します。

  • フィリピンで利用中の断熱ボックス
  • NNR Global Logistics(Philippines) Inc.
    Administration and HR Manager
    MARGARITA L. SAMARISTA