2022(令和4)年8月28日、西鉄天神大牟田線は雑餉隈ー下大利間約5.2kmの運行を始発電車より高架新線に切り替えました。
 これは、福岡県および福岡市が事業主体となり、西日本鉄道株式会社と共同で2003(平成15)年から進めてきた連続立体交差事業によるものです。高架化により19か所の踏切がなくなり、踏切による交通渋滞が解消されました。

 今回の特集ページでは、天神大牟田線の高架化の歴史をご紹介します。

 
 
福岡ー平尾間高架線切替直後  
1995(平成7)年頃 
写真No. NOMR139 /所蔵:西日本鉄道(株)

 
福岡駅高架化工事風景
1960(昭和35)年頃 
写真No. NTE167
所蔵:西日本鉄道(株)
 
西鉄ニュース
「西鉄福岡駅高架完成」記事 
1961(昭和36)年11月号
所蔵:西日本鉄道(株)
 
記念切符「西鉄福岡駅高架工事竣工」
1961(昭和36)年11月1日発行
所蔵:西日本鉄道(株)
 
 
 

 

西鉄福岡駅の高架化


 西鉄天神大牟田線の最初の高架化は西鉄福岡駅(現・西鉄福岡「天神」駅)でした。これは天神一帯の都市計画(福岡市戦災復興土地区画整理事業および都市計画街路事業)の一環として行われたもので、天神交差点から渡辺通1丁目までの道路を18mから50mに拡幅する都市計画のため、福岡駅から薬院新川間780mの線路を西側へ60m平面移設し、さらに国体道路と平面交差する踏切の撤去を目的に計画され、西鉄は将来の輸送力増強に向けて高架化で対応しました。
 工事は1960(昭和35)年3月の仮駅舎の建設から始まり、同年9月1日に工事着工。14ヶ月の工期を経て1961(昭和36)年11月1日に竣工し、同日から高架線での運行に切り替えました。同時に高架下にバスセンターが設置されるなど交通体系の整備も進み、同年12月23日の福岡バスセンター開業を経て、天神を起点とした交通ネットワーク網が完成しました。
 
地平時代の福岡駅ホーム 1957(昭和32)年頃
写真No. NTSR595/所蔵:西日本鉄道(株)
  地平時代の福岡駅全景 1959(昭和34)年
写真No. ZZP308/所蔵:西日本鉄道(株)
福岡駅高架平面図 1960(昭和35)年頃/所蔵:西日本鉄道(株)
福岡駅の構造図 1960(昭和35)年頃/所蔵:西日本鉄道(株)
 
西鉄福岡仮駅 1960(昭和35)年
写真No. NWNB902/所蔵:西日本鉄道(株)
  仮駅・仮線への切替夜間工事 1960(昭和35)年9月1日
写真No. NTBR532/所蔵:西日本鉄道(株)
 
福岡駅高架化基礎工事 1960(昭和35)年頃
写真No. NKG337/所蔵:西日本鉄道(株)
  福岡駅高架化工事と福岡ビル建設風景 1960(昭和35)年頃
写真No. EHS069/所蔵:西日本鉄道(株)
 
福岡駅高架化工事 1961(昭和36)年頃
写真No. p162_2/所蔵:西日本鉄道(株)
  完成した西鉄福岡駅全景 1961(昭和36)年
写真No. NWNB903/所蔵:西日本鉄道(株)
 
高架駅ホームでの出発式 1961(昭和36)年11月1日
写真No. NKG326/所蔵:西日本鉄道(株)
  西鉄福岡駅と福岡バスセンター 1967(昭和42)年頃
写真No. NTMG317/所蔵:西日本鉄道(株)

【関連ページ】   西鉄福岡駅の高架化工事風景(1960~1961年/にしてつ画像ライブラリー)
    沿線風景アーカイブス福岡駅高架工事(にしてつ沿線・駅前風景の変遷)
    西日本鉄道創立110 周年記念誌『まちとともに、新たな時代へ』第1 部 天神発展史

 
西鉄ニュース
「西鉄久留米駅高架開通」記事 
1969(昭和44)年4月号
所蔵:西日本鉄道(株)
 
記念切符「西鉄久留米駅高架開通」
1969(昭和44)年3月1日発行
所蔵:西日本鉄道(株)
 
告知チラシ「西鉄久留米駅高架開通」
1969(昭和44)年2月発行
所蔵:益田啓一郎
 
 
 
 

西鉄久留米駅の高架化


 西鉄久留米駅の高架化は1965(昭和40)年8月に踏切道改良促進法の指定を受けて、同年10月に大牟田線櫛原ー花畑間約1.32kmで工事着工しました。西鉄久留米駅付近は、国道3号線及び209号線と平面交差していたため、踏切道での交通混雑が地域の大きな課題となっていました。3年5ヶ月の工期を経て1969(昭和44)年3月1日に高架線が開通、同日から西鉄久留米駅も高架駅となりました。これにより9ヶ所の踏切道を撤去することができ、交通混雑は大幅に解消。駅ビルが完成し、久留米西鉄名店街やバスセンターが完成して全面開業したのは同年12月1日でした。
 
地平時代の西鉄久留米駅ホーム 1958(昭和33)年頃
写真No. NKG040/所蔵:西日本鉄道(株)
  地平駅時代の西鉄久留米駅と踏切風景 1965(昭和40)年頃
写真No. EHS506/所蔵:西日本鉄道(株)
 
高架工事風景 1967(昭和42)年頃
写真No. NAR089/所蔵:西日本鉄道(株)
  西鉄久留米駅高架線ホームの工事風景 1968(昭和43)年頃
写真No. NAR022/所蔵:西日本鉄道(株)
 
西鉄久留米駅高架開通 1969(昭和44)年3月1日
写真No. T01-21M23/所蔵:西日本鉄道(株)
  西鉄久留米駅高架開通 1969(昭和44)年3月1日
写真No. T01-21M21/所蔵:西日本鉄道(株)
 
高架線切替直後の西鉄久留米駅全景 1969(昭和44)年3月
写真No. NNO012/所蔵:西日本鉄道(株)
  西鉄久留米駅ビル完成直後 1970(昭和45)年頃
写真No. T02-5M16/所蔵:西日本鉄道(株)


 
新旧の大橋駅全景(高架線切替直前)
1978(昭和53)年3月
写真No. NAR046
所蔵:西日本鉄道(株)
 
記念切符「平尾・大橋間高架開通記念」
1978(昭和53)年3月3日発行
所蔵:西日本鉄道(株)
 
西鉄ニュース
「平尾-大橋間高架開通」記事
1978(昭和53)年3月号
所蔵:西日本鉄道(株)
 
告知チラシ「平尾・大橋間高架開通」
1978(昭和53)年2月発行
所蔵:益田啓一郎
 

平尾ー大橋間の高架化


 平尾ー大橋間の連続立体交差化事業による高架線が開通したのは1978(昭和53)年3月3日です。都市計画「塩原地区土地区画整理事業」の一環として1971(昭和46)年度に着工し、着工から6年半を経ての開通でした。これは平尾駅から那珂川橋梁北側までの3.24kmにおよぶ大工事で、都市計画街路6本を含む22本の道路と立体交差し、交通量の多い野間・大橋の両踏切を含む15ヶ所の踏切が廃止となりました。立体化に際して、高架区間全線に継ぎ目のない600mのロングレールや、防音性・防振性に優れたPC枕木を使用するなど沿線の騒音に配慮しています。
 大橋駅は従来駅から300mほど北側に移設して高架ターミナル化され、上下主本線と特急・急行列車を待避する上下副本線が設けられ、2面島式ホームは12両編成の停車も可能なホーム長240mとなり、高架化と同時に急行停車駅となっています。階下には大橋西鉄名店街が開業し、駅前広場には路線バスが乗り入れ、鉄道とバスの乗り換えもスムーズになりました。
 高宮駅はホーム長240mの相対式2面ホームとなり、将来の利用者増加に対応した駅構造で高架化され、階下には高宮西鉄名店街が開業しました。
 
地平駅時代の大橋駅 1977(昭和52)年頃
写真No. MNOP008/所蔵:西日本鉄道(株)
  地平駅時代の大橋駅 1977(昭和52)年頃
写真No. MNOP043/所蔵:西日本鉄道(株)
 
国道385号線大橋踏切の混雑 1977(昭和52)年頃
写真No. MNOP064/所蔵:西日本鉄道(株)
  建設が進む高架線の横を進む電車 1977(昭和52)年頃
写真No. T01-19M28/所蔵:西日本鉄道(株)
 
平尾ー大橋間高架開通ポスター 1978(昭和53)年
写真No. PNS017/所蔵:西日本鉄道(株)
  旧大橋駅と高架線を進む試運転車両 1978(昭和53)年2月
写真No. T01-21M06/所蔵:西日本鉄道(株)
 
建設が進む高架線の横を進む電車と踏切 1977(昭和52)年頃
写真No. MNOP060/所蔵:西日本鉄道(株)
  高架線開通と完成した大橋駅 1978(昭和53)年3月3日
写真No. NNO054/所蔵:西日本鉄道(株)
 
大橋駅ロータリーと新設バス停での出発式
1978(昭和53)年3月3日/写真No. BZB021/所蔵:西日本鉄道(株)
  高架化前の高宮駅 1977(昭和52)年頃
写真No. MNOP832/所蔵:西日本鉄道(株)
 
高架工事が進む高宮仮駅 1977(昭和52)年頃
写真No. NBS032/所蔵:西日本鉄道(株)
  完成した高宮駅 1978(昭和53)年
写真No. T01-19M41/所蔵:西日本鉄道(株)

【関連ページ】   大橋駅高架移転開業の記録(1977〜78年/にしてつ画像ライブラリー)
    高宮駅高架化開業の記録(1977—78年/にしてつ画像ライブラリー)
    大橋駅高架工事(沿線風景アーカイブス)

 
西鉄ニュース
「福岡-平尾間高架開通」告知
1995(平成7)年3月号
所蔵:西日本鉄道(株)
 
西鉄社報「福岡-平尾間高架開通」記事
1995(平成7)年4月号
所蔵:西日本鉄道(株)
 

福岡ー平尾間の高架化


 福岡ー平尾間の高架線(1.62km)が開通したのは1995(平成7)年3月25日です。当時「開かずの踏切」といわれた城南線の薬院1号踏切は、1日あたりの横断交通量が4万600台、遮断時間約5時間に及び、福岡市内最大の交通渋滞箇所でした。1984(昭和59)年9月に都市計画事業の認可を受け、1985(昭和60)年11月に工事着工しました。
 薬院駅付近の工区では、仮線を設置する用地確保が不可能だったことから、営業している在来線の真上に高架線を築く直上高架方式を採用。これは九州では初の試みで、営業終了後の夜間工事も多くなり、最新鋭の建設機械が多く導入されるなどで9年半におよぶ大工事となりました。
 高架線の開通により、薬院1号踏切を含む9つの踏切が廃止となり、一帯の交通渋滞緩となりました。高架線の軌道部にはスラブ構造が用いられ、乗り心地の向上と騒音の軽減が図られています。
 薬院駅は相対式2線2ホーム、ホーム長200mの10両編成対応となり、1996(平成8)年3月に新しい駅舎が完成。「人に優しい駅」をテーマに、大牟田線では初めてとなる車椅子対応エレベーターも設けられ、階下には商業施設が入居しました。
 
福岡ー平尾間高架工事 1991(平成3)年頃
写真No. NAR028/所蔵:西日本鉄道(株)
  薬院踏切を通過する電車 1991(平成3)年頃
写真No. NAR026/所蔵:西日本鉄道(株)
 
薬院踏切の高架工事 1993(平成5)年頃
写真No. NAR093/所蔵:西日本鉄道(株)
  薬院踏切の高架工事 1993(平成5)年頃
写真No. NOMR136/所蔵:西日本鉄道(株)
 
連続立体交差事業高架線開通式 1995(平成7)年3月25日
写真No. NAR096/所蔵:西日本鉄道(株)
  完成間近の薬院駅 1996(平成8)年頃
写真No. NAR024/所蔵:西日本鉄道(株)

 


【関連ページ】   西鉄福岡ー薬院間(沿線風景アーカイブス)薬院駅・薬院踏切(沿線風景アーカイブス)

 
 
 
 
 
 

花畑駅・試験場前駅の高架化


 2004(平成16)年10月17日、花畑駅周辺の連続立体交差事業(西鉄久留米ー津福間2.07km)により、花畑駅と試験場前駅が高架駅となり6ヶ所の踏切が廃止されました。花畑駅は高架線切替と同時に特急以下全ての列車の停車駅となり、試験場前駅からの始発列車を増発して久留米市内からの路線バスとの結節を強化しました。これにより慢性的な交通渋滞が緩和され、駅周辺整備が久留米市と地元企業によって進められました。
 
地平時代の花畑駅と踏切 2000(平成12)年頃
写真No. NTSR114/所蔵:西日本鉄道(株)
  花畑交差点と花畑駅 2000(平成12)年頃
写真No. NTSR115/所蔵:西日本鉄道(株)
 
高架化された花畑駅 2004(平成16)年10月
写真No. p426_2/所蔵:西日本鉄道(株)
  試験場前駅に停車中のコスモス号 2014(平成26)年9月
写真No. PN74-8/所蔵:西日本鉄道(株)

【関連ページ】   花畑駅・試験場前駅(沿線風景アーカイブス)

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