
中村 雅之
マリンワールド海の中道
館長
アジア太平洋博覧会(よかトピア)が開催された1989年。国営海の中道海浜公園に水族館が誕生することになり、地域貢献の一環として西鉄が運営に名乗りを上げました。 西日本で初の本格的なイルカ、アシカのショープールを備えた「マリンワールド海の中道」はたちまち福岡を代表する人気スポットに。実は当初、オープンしたのは建物の左側のみ。6年後の1995年には、右半分もオープンし、現在の形になりました。 そして昨年4月、開館以来初の全館リニューアルで大きく生まれ変わりました。
【1】「玄界灘水槽は、魚が見えにくくならず、かつ水槽内に発生する泡も美しく見えるよう波の量を検討しました」
【2】リニューアルにあたって各水槽の担当スタッフが模型を作り、館長にプレゼンテーション。「玄界灘水槽」の模型も実物そのまま!
「コンセプトは『いつも新しい私になれる水族館』。海の生き物と触れあうことで新しい発見があったり、かわいい姿に心が癒されたり。 来たときよりもリフレッシュして元気になれる、そんな水族館を目指しました」と館長の中村さんが語ります。 今回のリニューアルでは、身近な九州の海の魅力をもっと伝えたいと、展示内容も一新。黒潮が流れる九州南部の海をイメージした外洋大水槽をはじめ、鹿児島の錦江湾、佐賀の有明海、長崎の西海など、さまざまな特徴をもつ各地の海を見ることができます。 なかでも注目は「玄界灘水槽」。天井から1分ごとに大きな波が水槽内に打ち寄せる驚きの仕掛けで、魚たちが荒波にもまれる様子はまさに玄界の海そのものです。
【3】1989年の開館当時。時間をかけて理想の水族館を完成させるため、向かって左半分だけの姿でオープンしました
また館内の「情報ひろば うみのたね」では野外観察会を企画。実際に磯や川、干潟などに出かけて水辺環境や生き物たちについて学びます。 毎回たくさんのお客さまが参加しています。「水族館を通して、お客さま同士の交流が生まれるのもリニューアルで目指したことのひとつです。 今年からはボランティアの方の募集も始め、タッチプールでの解説や順路案内などをお願いしています。 地域の皆さまと一緒になって、さらにワクワクする場所にしていきたいですね」。
【4】海の生き物の生態や九州各地の自然環境について学べる「情報ひろば うみのたね」。パネル展示のほか体験型ワークショップも人気です
【5】お客さまと出かける野外観察会では、実際に有明海の干潟などに出かけて泥んこ遊びも。季節ごとの水辺環境を五感で体験できます
さらに、水族館にはもうひとつ重要な役割があります。それは、生物の学術研究や種の保存。「現在、小笠原諸島のダイバーの方々と連携してサメの一種・シロワニの繁殖や移動に関する調査を行っており、世界的にも評価されています。 ラッコの人工哺育を生後10日目から始めたのも当館が日本初でした。近年は海浜公園の敷地内で、アマモやヒナモロコといった淡水生物の保存活動を行っています。 絶滅が危惧される希少生物を保護することも、私たちの大切な使命だと思っています」。
開館から30年。知的好奇心を満たしてくれる楽しさが詰まったマリンワールドは、これからも進化し続けます。
「飼育に携わる私たちは、水深ごとの生き物のDNA採取など、先端的な学術研究を続けなければいけません」
特別展「沖ノ島~神秘の海をたどる~」
世界遺産登録となった沖ノ島の自然、海中の様子を紹介します。
夜のすいぞくかん開催
営業時間を21:30まで延長。夜のイルカショーやイワシのショーは必見です。9:30~21:30。
住所:福岡市東区西戸崎18-28
電話:092-603-0400
料金:大人2,300円、65歳以上1,840円、中学生1,200円、
小学生1,000円、4歳以上小学生未満600円
交通:西鉄バス「マリンワールド海の中道」バス停より徒歩3分
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