西鉄天神大牟田線が走る大木町は農業が盛んな土地。そこに西鉄グループのNJアグリサポートが運営する「にしてつ農園」があることをご存じでしょうか。 西鉄と農業、一見関係の薄い両者を繋ぐ思いを、生産部長の正木栄作さんに聞きました。


新規就農者の増加による
沿線の活性化を目指して

正木 栄作
株式会社NJアグリサポート
取締役 生産部長

若い世代が希望をもてる新しい農業の形を実現するための場

 「NJアグリサポート」は、全国農業協同組合連合会(JA全農)と共同出資のうえ、2015年に設立した西鉄のグループ企業です。 拠点を置く三潴郡大木町に構える圃場でブランドイチゴ「博多あまおう」を生産しながら、新たに農業を始めたいという志をもつ研修生の指導育成を行っています。

「なぜ西鉄が農業を?」と疑問に思われる方も多いかもしれません。 西鉄天神大牟田線の大牟田方面行きの電車に乗ると、西鉄久留米駅を過ぎたあたりから車窓にはのどかな田園風景が広がります。 大溝駅、八丁牟田駅がある大木町は農業のまち。イチゴやアスパラ、キノコの生産を中心に安定した収益を上げる農家が多い一方で、高齢などの理由により離農する生産者は増加傾向にあります。 基幹産業である農業を活性し、地域を元気にしたいという思いがJA全農と一致し、NJアグリサポートの事業はスタートしました。

【1】真冬でもビニールハウスの中は約24度と春の陽気。安心・安全なイチゴの生産は、事業の大きな柱のひとつ
【2】朝収穫したイチゴをパック詰め。細心の注意を払いながら一つずつ手作業で並べます

NJアグリサポートが目指すのは、高収益型の農業。将来に希望をもてる農業の形を示すことが、若い世代への意欲喚起につながると考えています。 「家族だけで休みなく働く従来のやり方では、興味をもつ若者は増えないでしょう。 そこで、従業員を雇い、生産性を高め、収益を上げるという方式で成功している講師を迎え、生産や経営の指導を仰いでいます」と生産部長の正木さんは語ります。

【3】圃場があるのはきれいな水に恵まれた大木町大莞地区。約4,300㎡の面積にイチゴを作付けしています

事業のなかで、最も重視しているのが生産者の育成です。現在は2期生となる3名が研修中。 出身も前職もさまざまですが、共通するのは農業で生計を立てるという強い気持ち。 「ブランド力のある作物なので、これから先も需要があると思いました」と研修生の松永健治さんが語るように、未来を見据えて学ぼうという姿勢がある人を採用しています。 昨年研修を終えた1期生はすでに町内で就農し、イチゴの生産者として奮闘中。「新規就農人口の増加という目的を少しですが達成できたのはひとつの成果ですね。 作る人が増えれば産地の力が強まる。そうすればブランドの魅力が高まり、作物の単価や所得も上がります。 これから10年、20年と続けていくうちにこの図式が確立され、そのなかでNJアグリサポートの出身者が活躍しているといいですね」。

【4】主な出荷先は首都圏ですが、「にしてつストア」「レガネット」の一部店舗でもNJアグリサポートで生産したイチゴを販売しています。“にしてつ農園”のシールが目印
【5】全農が異業種の企業と共同出資して会社を立ち上げるのはめずらしく、全国的に注目を集めています

 人材育成はもちろんですが、目指すは生産者としてもトップレベルに達すること。 卒業した研修生とともに大きく成長することで、農業を通じた地域活性の一旦を担えるよう努めてまいります。

正木さんと2期研修生の3名。「今年のあまおうは粒が大きいのが特徴。ぜひ味わってみてください!」

佐賀県基山町でトマトの生産を開始します!

※写真はイメージです

NJアグリサポートでは、佐賀県および基山町と協働で、基山町にトマト栽培農場を設置し、今年の7月(予定)よりトマトの栽培事業を開始します。 みなさまの食卓にいろどりをお届けしたい、健康な毎日をお手伝いしたい、そんな想いで「にしてつ農園トマト」を生産します。


ちょっと「トマト」豆知識♪

栄養がいっぱい詰まった真っ赤なトマト。なかでも、特に注目されているのが健康や美容に良いとされるリコピン。 トマトの赤色はこのリコピンなのです。その他にも低カロリーでありながら、ビタミンC・E、カリウム、食物繊維などの栄養素をバランス良く含んでいる健康野菜なのです。