電車やバスの運行で知られる西鉄グループですが、航空業界でも多くのスタッフが活躍しています。
今回はその一人である、北九州空港のグランドハンドリングスタッフ 三谷拓也さんを紹介します。


西鉄の高い安全意識を
航空業界に生かして

三谷 拓也
西鉄エアサービス

西鉄が培った実績を空の世界でも発揮

「西鉄エアサービス」は1990年、旧北九州空港の地上業務を受託したことをきっかけに設立したグループ企業です。それまで交通事業を通して培ってきた安全への取り組みが評価され、航空業界へ本格参入。現在は、福岡、熊本、宮崎など6空港で、搭乗手続きなどを担当する旅客業務、手荷物・貨物の搭降載などを行うグランドハンドリング業務、地上支援などを受けもつ航務業務を中心に行っています。
 今回、紹介したいのは北九州空港のグランドハンドリング部門。九州唯一の24時間空港で、約50名のスタッフが日夜業務に勤しんでいます。現北九州空港開港の同年に入社し、10年の節目を迎えた三谷拓也さんは、「ロードマスター(搭載監督者)」資格の保持者。手荷物や貨物の搭降載に関わるスタッフが目指すポジションであり、同時に搭降載業務の責任をもつ立場でもあります。「手荷物の仕分けから始まり、航空機の誘導、プッシュバックなど必要な資格を取得し、約2年前にロードマスターの試験に合格しました」。航空会社ごとに規定や使用機材が異なるため、資格もそれぞれに存在します。業務の幅を広げるためにスタッフは一つずつ資格を取得していく必要があります。それだけの高いスキルを求められるほど、重要な役割を担っているのです。

【1】担当便到着の約15分前にスタッフを集めてブリーフィングを開始。担当を振り分け、手荷物の数や危険物の有無などを共有することで各自の作業がスムーズに進みます
【2】着陸した航空機を駐機場に誘導するマーシャリング業務。大きな機体を所定の位置に駐機できるよう、パドルを使って機長に細かな指示を送ります

 三谷さんをはじめとするグランドハンドリングスタッフが常に心がけていること、それは「安全運航」です。「貨物の定位置やドライアイスなどの危険物の固定など、どれだけ時間が差し迫っても『絶対に大丈夫』と思えるまで確実にチェックします。担当便が安全に目的地に到着するまでが私たちの仕事です」。
 もう一つ重視されるのが「定時性」です。今回の取材では、機材の空港滞在時間は40分弱。そのなかで航空機の誘導や搭乗橋の着脱、手荷物・貨物の搬出・積載、滑走路へのプッシュバックなどを完了する必要があります。「毎便状況は異なり、同じことはありません。事前にチームで情報を共有し、個々がしっかり準備をすることで、余裕をもって作業できるようにしています」。
 「お客さまとの対面が少ない仕事だからこそ、業務の先にお客さまを意識して気を引き締めています。"西鉄"という信頼感を守るためにも」。鉄道やバス、そして航空。業種は異なっても交通に携わる者の使命は変わりません。西鉄グループの基本姿勢である「安全・安心」をこれからも多方面で生かしていきます。

【3】預かった手荷物を貨物室へ。手荷物は「モノを言わないお客さま」(三谷さん)。手違いや破損がないように確認しながら丁寧かつ迅速に積載します
【4】ロードマスターである三谷さん。すべての作業工程を確認したのち責任者として書類にサインをし、出発準備完了を関係部門に連絡します

【5】自走でのバックが困難な航空機を滑走路まで運ぶプッシュバック業務も行います
担当した便をお見送り。「手を振り返してくださる方が見えるとうれしいですね」と三谷さん

福岡空港国際線の旅客業務でも活躍中!

「西鉄エアサービス」は、2014年より福岡空港国際線での旅客業務の受託を開始しました。現在は、チェジュ航空、ベトナム航空、ティーウェイ航空、マカオ航空、フィンランド航空の5社において、搭乗手続きカウンターでのチェックイン業務、出発ゲートでの搭乗案内、手荷物の受託と引渡しなどの業務を行っています。
 福岡空港国際線をご利用されるお客さまへ「安心と快適とときめき」をお届けできるよう、各スタッフが心をこめて笑顔の接客を行っています。