筑豊直方駅ホームで出発を待つ2001号車 
1977(昭和52)年10月 写真No. NTBY588 /所蔵:西日本鉄道(株)

 1977(昭和52)年に3両連接車車が登場した筑豊電気鉄道2000形は、沿線住民から「黄電(きなでん)」と呼ばれて親しまれ、1978(昭和53)年度の「ブルーリボン賞」「ローレル賞」候補にもノミネートされました。
 2000形車両は1984(昭和59)年、床下にインバーターを取り付けてクーラーを作動させる車内冷房に日本で初めて成功。側窓安全ガラス化、踏段の段差縮小、ATS装置の新設などの安全対策・車両整備を行い、さらに導入30周年となった2007(平成19)年度には、2000形7編成の塗色を虹を構成する7色とトレインをかけて「トレインボー」と命名。2001(紫)、2002(藍)、2003(青)、2004(緑)、2005(黄)、2006(橙)、2007(赤)の7色カラーリングとなりました。
 その後、老朽化と2015年度から運行を開始した新型5000形導入に伴い2012(平成24)年から順次廃車となり、2022(令和4)年11月7日限りで最後の2003号車が引退します。
 今回の特集ページでは、筑豊電鉄2000形の歴史をご紹介します。

 

 
福岡市内線貫通線などが廃止され、
貸切で運行された「さよなら電車」
 
1975(昭和50)年10月
写真No. NTBS174 /所蔵:西日本鉄道(株)
 
 
 
 

筑豊電鉄初の自社所有車両、2000形連節車が登場。


 筑豊電気鉄道は1956(昭和31)年3月21日、貞元〜筑豊中間間で運輸営業を開始し、西鉄北九州線との相互直通運転開始しました。同社は開業当初は自社車両を持たず、西鉄北九州線所属車両の乗り入れと借入車両による営業を行いました。
 その後、筑豊電鉄は1976(昭和51)年2月2日、西鉄福岡市内線の部分廃止により余剰となった2両連接車4編成(1301~1304AB)を購入し、2001~2004ABが初の自社所有車両として就役しました。
 
天神電停に停車中の福岡市内線1302号車、後方は岩田屋
1975(昭和50)年10月 写真No. MNFS306 /所蔵:西日本鉄道(株)
  西鉄グランドホテル前電停を出発する福岡市内線1001号車
1975(昭和50)年10月 写真No. MNFS421 /所蔵:西日本鉄道(株)
 
熊西~萩原間を進む北九州線1005号車
1972(昭和47)年頃 写真No. NNR237 /所蔵:西日本鉄道(株)
  西鉄福岡市内線から筑豊電鉄へ移籍した当初の2 両連接2004 号車
1976(昭和51)年10 月 写真No. MASR056 /所蔵:益田啓一郎


 
 
 
 
 
 

3両連接車2001号車が「黄電(きなでん)」塗色で登場。


 筑豊電鉄は1977(昭和52)年1月から、西鉄福岡市内線1205AB及び1013Bを購入して2005ABCに改造する工事に着手。さらに1977(昭和52)年3月からは西鉄北九州線1043~1044ABを購入して中間C車(2001~2004C)に改造する工事に着手しました。
 1977(昭和52)年7月5日、筑豊電鉄は3両連接車2001ACBの営業運転を開始。オキサイドイエローの車体にボンレッドの帯を施した外観は沿線住民から「黄電(きなでん)」の愛称で親しまれます。その後、2002~2005ACBも順次竣功しました。登場時、2000形は全国の鉄道ファンの注目を浴び、1978(昭和53)年度の「ブルーリボン賞」「ローレル賞」候補にもノミネートされました。
 
黒崎駅前で出発を待つ2001号車 1977(昭和52)年10月
写真No. FCP201 /所蔵:西日本鉄道(株)
  筑豊直方駅で出発を待つ2001号教習車 1977(昭和52)年10月
写真No. FCP205 /所蔵:西日本鉄道(株)
 
三ヶ森駅に停車中の2003号車 1978(昭和53)年頃
写真No. NZG008 /所蔵:西日本鉄道(株)
  黒崎車庫前に停車中の2003号車 1978(昭和53)年頃
写真No. S10G4P202 /所蔵:西日本鉄道(株)


 
 
 
 
 
 

2000形7編成が揃い、冷房化など改良が行われる。


 筑豊電鉄はさらに西鉄北九州線1062~1064ABを購入し、1063A・1063Bを中間C車(2006・2007C)に改造のうえ、1980(昭和55)年7月1日に2006・2007ACBとして使用を開始。これにより2000形3両連接車7編成が揃いました。福岡市内線ベースの車両とは細部が微妙に異なり、方向幕窓の大きさも2006・2007は大きめでした。
 その後、1984(昭和59)年には床下にインバーターを取り付けてクーラーを作動させる車内冷房に日本で初めて成功。側窓安全ガラス化、踏段の段差縮小、ATS 装置の新設などの安全対策・車両整備を行いました。
 
穴生駅に到着する2007号車
1990(平成2)年頃 写真No. NNO019 /所蔵:西日本鉄道(株)
  黒崎車庫前電停に停車中の2006号車
1990(平成2)年頃 写真No. NTKE426 /所蔵:西日本鉄道(株)

 
 
 
 
 
 

虹色の「トレインボー」7色カラーリングとなる。


 筑豊電鉄は2007(平成19)年度には2000形の導入30周年を記念して、7編成の塗色を虹を構成する7色とトレインをかけて「トレインボー」と命名。順次塗色を変更し、2001(紫)、2002(藍)、2003(青)、2004(緑)、2005(黄)、2006(橙)、2007(赤)の7 色カラーリングとなりました。
 
楠橋車庫に勢揃いした2000形
2007(平成19)年 写真No. DSC0048prn /所蔵:西日本鉄道(株)
  通谷~東中間間を進む2005号車 
2010(平成22)年3 月 写真No. DSCF3285 /撮影:益田啓一郎
 
ちくてつ電車まつりで披露された2001号車
2007(平成19)年10 月 写真No. IMG2329 /所蔵:西日本鉄道(株)
  熊西~萩原間を進む2006号車
2016(平成28)年1月 写真No. NTDMS126 /所蔵:西日本鉄道(株)
 
筑豊中間駅に到着する2003号車
2015(平成27)年11 月 写真No. PB290383 /撮影:益田啓一郎
  遠賀川橋梁を渡る2002号車
2015(平成27)年4 月 写真No. P3090006 /撮影:益田啓一郎

 
 
 
記念フォトブック 
さよなら筑鉄2000 形~
他社へ転籍して活躍した西鉄路面電車

2022 年10 月10 日発売!

マルーン&ベージュ・黄電(きなでん)2パターン塗色で運行。


 2018(平成30)年11月12日、筑豊電鉄は2000 形最後の現役車両となっていた2003号車を、開業当時の塗装「西鉄マルーン& ベージュ」と初代2000形の塗装「黄電(きなでん)」の2パターン塗色での運行を開始。その斬新な企画から大きな話題となりました。
 それから4年、2003号車は役目を終えて2022(令和4)年11月7日限りで引退します。
 
筑豊香月~楠橋間の大カーブを進む2003号車
2019(平成31)年4月 写真No. NGKL339 /所蔵:西日本鉄道(株)
  熊西~萩原間を進む2003号車
2018(平成30)年11月 写真No. NGKL039 /所蔵:西日本鉄道(株)
 
熊西~萩原間を進む2003号車
2018(平成30)年11 月 写真No. NGKL045 /所蔵:西日本鉄道(株)
  稲穂が実る田園風景を進む2003号車
2022(令和4)年10月 写真No. PA090113 /撮影:益田啓一郎
 
2003号車引退ツアー、楠橋車庫での運転体験
2022(令和4)年9月 写真No. P9200419 /撮影:益田啓一郎
  2003号車引退ツアー・楠橋車庫での記念撮影
2022(令和4)年10月 写真No. IMG8961 /撮影:益田啓一郎


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