福岡市内線500形車両(501〜520)は、老朽化した木造2軸車の置き換えを目的に終戦前後の1944(昭和19)年から1948(昭和23)年にかけて製造された。壱岐松永安左衛門記念館で保存されている516号は、現存する500形2両のうちの1つである。
車体全長は約11m、前面3枚窓で側面両端に折り戸を配置し、扉間には上段固定下段上昇式の窓を9枚配した。主要機器を廃車(木造2軸車)から転用したため高床式の車両となっている。空制関係の機器が揃わなかったため竣功は1946(昭和21)年以降となった。主電動機は木造2軸車のものを流用し、当初は22.4kW×2個と14.9kW×4個のものが存在したが、のちに新製37.3kW×2個に統一された。
500形車両は1960(昭和35)年以降、窓枠の金属化や蛍光灯化などの近代化改装が施され、1968(昭和43)年から1970(昭和45)年にかけてワンマンカーへの改造が行なわれた。
1979(昭和54)年2月10日限りで福岡市内線が全廃となり、516号は他の500形車両とともに廃車され、壱岐市に昭和46年に開設された松永安左エ門記念館に移された。記念館敷地内のタイルは福岡市内線の軌道敷石をそのまま再利用している。 |