西日本鉄道株式会社 創立110周年記念誌S
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97第1章 経営総論2012年度数値目標連結営業利益 171億円ROA 4.5%ROE 7.3%時代の流れをとらえた新たな事業価値の創造 第12次中計の2つ目の重点戦略である新たな事業価値の創造は、①福岡都心部への集客強化(九州新幹線全通を商機とした取り組み推進)、②グル-プ連携・地域密着化の推進(地域ニーズへの対応強化)、③新たな成長市場への対応強化(国際物流事業の拡大、宿泊特化型ホテルの展開)、④人材力の向上(留学生の採用、事業内容に即した中途採用・外部との人事交流)、であった。環境負荷低減やアジアマーケットの取り込み、インターネットの活用など時代の流れをとらえた切り口で、新たな事業に挑戦する戦略も盛り込んでいた。 企業の成長の基盤づくりの根本にあるのは、あくまでもCSR経営を貫くことであるという位置づけから、CSR経営の更なる深化を3つ目に掲げた。新たな事業モデルの構築で反転攻勢へ 第12次中計の初年度にあたる2010(平成22)年度決算は目標を達成したが、営業収益の伸び悩みという課題が浮き彫りになった。国際物流事業は大幅な増収であったが、大部分を占める国内をターゲットにした事業の多くは減収であった。中計の最終目標達成には、営業収益の拡大をともなう利益の拡大が必要であった。 2011年度は「新たな事業モデル」を構築し、営業収益拡大に向けた年にしようと、事業計画の基本方針を「事業構造改革の推進と、新たな事業モデルによる売上拡大」および「CSR経営の更なる浸透に向けた取組み推進」とした。 新たな事業価値の創造として、①「九州新幹線、新博多駅ビルの開業」を広域にわたる人やモノの流れの変化によるビジネスチャンスの拡大ととらえる、②「人口減少によるマーケット縮小とデフレ経済の継続」を受けニモカの利用データなどの活用で高品質・高付加価値のサービスや商品を追求する、③「アジア経済の拡大」によるインバウンド需要や関連ビジネスの獲得、交通事業をはじめグループに蓄積されたノウハウをアジアで展開する、ことなどを検討していくこととした。 「CSR経営のさらなる浸透に向けた取り組み」では、企業の社会的責任を果たすという価値観を、事業運営や商品・サービスそのものに反映していくことで、事業活動の負担ではなく、事業の付加価値あるいは事業機会として戦略的にとらえ、活用していくこととした。第13次中計への基礎固めが整う 2011(平成23)年度の数値目標も達成し、2012年度事業計画は基本方針を、「第12次中計で掲げた施策の着実な実行による収益力の強化」「成長ステップに向けた新たなビジネスモデルの開拓」であった。2012年度の数値目標を達成しただけでなく、第12次中計の「事業の構造改革」などの重点課題に取り組んだ結果、中計の数値目標をクリアした。こうして次期の第13次中期経営計画の基礎固めが整ったのであった。第12次中期経営計画(2010~2012年度)グループビジョン変革に挑む西鉄グループ重点戦略および主な戦略・具体策(1)事業の構造改革・再編の推進・事業モデルの変革、不採算事業の縮小・撤退・グループ事業の再編 ・一般管理コストの圧縮(2)新たな事業価値の創造・福岡都心部への集客強化 ・グループ連携・地域密着化の推進・新たな成長市場への対応強化 ・人材力の向上(3)CSR経営の更なる深化・安全・リスクマネジメントの継続的向上 ・環境マネジメントの取組み推進・CS(お客さま満足)の向上、地域・社会との共生
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