西日本鉄道株式会社 創立110周年記念誌S
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70第1部 天神発展史十字型に商業集積ひろがる それまで主な商業施設は明治通り沿いに東西に連なっていた。そこへ第1次天神流通戦争によって、渡辺通り沿いに北は福岡ショッパーズプラザから南は博多大丸まで、地下街も含めた南北軸ができ、天神交差点を中心に「十字型」の骨組みを形成した。この結果、天神地区の売り場面積は約7万㎡増えて約17万㎡となり、九州一の商業地へと成長していった。 商業集積により来街者を増やした天神地区は、ビジネスや商業、交通の結節点として資産価値を高めた。1978年度の福岡県の基準地価調査によると、福岡県における商業地の最高価格は天神2丁目(1㎡当たり120万円)で、北九州市の最高価格である小倉北区魚町の2倍以上となり、その差は次第に拡大していった。都心界の提言活動 天神に出店した商業施設は相ついで都心界に加入した。結成40周年を迎えた1988(昭和63)年には、4商店街、3大型店、2百貨店、傘下の店舗460店を擁する大商業団体に発展していた。共同売り出しや天神祭りなどにとどまらず、研究会の開催や都市開発への提言・要望活動を重ねていった。 1981年には地下鉄1号線が部分開業したのを受け、通行量および来街者調査を実施した。天神地区に欲しい施設のアンケートでは、①ベンチのある休憩広場、②小公園・緑地、③音楽ホール、④駐車場、⑤図書館、などがあり、市民がいかに憩いと安らぎを求めているかを浮き彫りにし、多くの指針を得た。 1986年の「天神未来計画展」には、天神発展会とともに、かねての事業計画「旗のある街」「回廊のある風景」を出品、反響を呼んだ。同年7月、天神発展会と連名で福岡市長に「新しい天神の街づくりへの要望書」を、翌87年1月には、21世紀を見据えて「都心(天神)構想に関する提言」を提出した。天神地区の現状を分析した上で天神地区の目標とするべき将来像に触れ、①回遊性、②快適性、③安全性、④情報性、⑤文化性、⑥界隈性、⑦イベント性、⑧国際性、に配慮した街づくりを提言した。天神地区(1986年頃)天神交差点付近(1978年頃)天神地区商業施設の開業(出典:各種統計資料等より作成)主な商業施設年売場面積(㎡)福岡ショッパーズプラザ(現・イオンショッパーズ福岡店・ノース天神)マツヤレディス(現・ミーナ天神)フタタ本店博多大丸(現・大丸福岡天神店)天神コア天神地下街岩田屋新館(現・PARCO新館)天神第1名店ビル(現・ビブレビル)ユーテクプラザ天神(現・天神ロフト)ソラリアプラザイムズ岩田屋Zサイド(現・岩田屋本館)博多大丸(現・大丸福岡天神店)東館福岡三越ソラリアステージ岩田屋新館BiVi 福岡新天神地下街福岡PARCO本館福岡PARCO新館197119731974197519761989199619971999200420052010201421,50011,1002,70023,00012,0007,20010,00014,7006,50020,00010,00034,00019,00038,00010,20015,50018,8004,20012,50012,500

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